every30minute ログ 4
※やっぱり大した解説はないです
※☆矢にあまり関係のないものや語りはログにしてません
■朝が (ラダカノ)
時計を見れば一目瞭然だが、徹夜明けだった。かれこれ二日前から纏まった睡眠時間がとれていない状況で、流石のラダマンティスもそろそろ限界が来ている。あと、あともう少しだ。待っていろミーノス、アイアコス。約束通り終わらせてやったと叩きつけてやる。
強烈な睡魔と戦いながら再びペンを持つと、突然傍らの携帯が震え出した。大儀そうにペンを持たない方の手でそれを掴んで表示を見る。カノンからの着信だった。珍しすぎて、通話ボタンを押すまでにブランクができた。
「も、」
『おお、やっと出たな。朝焼けが綺麗だぞーって、冥界じゃあわからんか』
ラダマンティスは顔をしかめる。カノンはあまり使ったことがない所為か、電話の使い方というか対応の仕方がかなり雑なのだ。
「朝焼け?」
『ああ。夕方みたいだぞ』
「そうか。見えないのが残念だな」
『まぁ人生に少なくともあと一度か二度は機会もあるさ』
電話越しでカノンがけらけらと笑う。くぐもった音が耳に届く。
『でもなぁ、朝焼けは雨の兆しだから』
残念だ、と独り言のようにカノンが呟く。
「残念?」
思わずラダマンティスは聞き返した。カノンはやはり笑って、勿体振った真似もなく。
『今日は会いに行けそうにもないなぁ』
握ったペンが折れそうだ。なのに無駄なまでに穏やかな朝焼けを告げる声に、身体は半分、睡魔に持っていかれてしまった。
2011/06/02 (Thu) 17:43
■女王 (パンドラ様)
まだ見えない、ちゃんと答えられない。何処か小さな子供のまま手足の伸びた自分が鏡に映って、確かなもののない体を疑った。生きているのはどこの頭?足の裏がしっかり地面についているかも危ぶんで、その白い指を自らの頬へと這わす。
目だって本当は大して当てにはならないでしょう。耳だって勝手に聞きたいことを選び出して、今日も見ないふり聞こえないふり。都合の良いことばかりで心を満たせば、私はいつまでも大きな顔して厳かに居られると、幸せも不幸せも落とした光も遠い偉大な玉座を夢見た。
2011/06/08 (Wed) 2:12
■乙女座
痩せこけていて、他の同年代たちよりもずっと体も小さい癖に、よくもまぁそんなに入るものだ。黙々と、一言も無駄口を叩かずに出された食事を貪っている。綺麗な顔をしているのに今日も瞼を下ろしたまま。更には少々行儀が悪いか、それとも少し急いで食べ過ぎている所為なのか、ぼろぼろこぼして、しかもそれを指でつまんで口に放り込む。
「もっと落ち着いて食べたらどうだ」
「うおっ、ずいぶんこぼしたな〜」
アイオロスが濡れた布で机を拭いた。
「すぐに崩れるこれがだめなのだ」
私はわるくない、と拗ねたように眉をひそめるが、隣のムウはこぼさず綺麗に食べきっているためにあまり説得力がない。しかしまぁ、こう言い出したら何度注意しても聞かないと知っているから、サガは苦笑いで流すことに決めた。
2011/06/09 (Thu) 12:14
(そしてそのうち、「これでこぼれまい!」と一口で食べ出す。サガとシャカの組み合わせが多いのは、自分の姉妹を重ねてるとこがあるからかも…)
■あああ (ラダカノ)
カノンの視界にいる。たったそれだけを望んで目を開いた。カノンの手の届く距離にいる。たったそれだけを望んで自分から手を伸ばした。
何かになりたい。何かをことばにもできないのに先走って抱え込んでも。笑ってくれるからそのままでいる。理屈や理由ばかり探す大人になった自分をはじめて疎んで、それでも背伸びは止めないまま。
なぁお前俺のこと大好きだよなぁ、けらけらからかう声に肩から背を抱いた。もうどうしたって埋まらない隙間があるのに、未だ貪欲だ、たったそれだけに満足できないまま貪欲になる。
2011/06/11 (Sat) 20:29
(このへんから、イー30エムのラダカノの方向性が危うくなってきた気がする。だんだん見えてくる綻び)
■迷走 (カノン)
次に瞼を閉じる瞬間について思いを馳せてみる。
無意味を主張されたり、その悲劇性を非難されたり、しかし特別な意識もなくそれを考えただけなのだから、どれだけ言われたって治らないものは治らないのだ。
次があるなら、太陽の下が良い。
2011/06/18 (Sat) 6:47
■ファーザーズ・デイ (一輝兄さん)
あの老いぼれが父だなどと思いたくもない。城戸沙織が膝をつき、手を合わせるその傍らで、一輝は苦い表情を浮かべた。結果としてこの道を歩んだことを容認しても、自分と弟を捨てた事実まで許す気はさらさらないのだ。既に生き絶え口を利くこともない者が謝罪などできようもないが、もしそんなものがあったとて自分は憎しみを深めるだけであろう。
城戸沙織は、今一時自身が女神であることを忘れ、育て親に祈りを捧ぐ。立派に設えられた墓石は城戸家代々のものであるという。何時か沙織も人としての生涯を終えたなら此処に入るのかと、辰巳に尋ねていたのを一輝は聞いていた。
他人のことなどどうでもいいのだ。
星矢も氷河も紫龍も、瞬も、この男に何も恨み言を持たないのであれば。自分だけは何時までも憎んだままでいてやりたい。全てが動かなくなった相手にはこんな感情も、それに任せて撃った拳も何も届かないのだとしても、この憎しみがあの日々を生き抜く糧となったと、忘れた時に自分はきっと息を引き取るのだから。
2011/06/19 (Sun) 8:24
(こんな立派な墓は要らない。
父の日でした。書きたいことが明確にかけたから凄く満足したのを覚えている。)
■たかのさん (星矢と魔鈴さん)
訓練が終わった後のご飯というのは格別だ。そりゃもう言葉では言い表せないほどに素晴らしく美味い。魔鈴は厳しい師だったが、訓練の時以外は素っ気なくも優しかった。
ご飯は、星矢が個人訓練をしている間に魔鈴が作ってくれているのだが、メニューはその時々によってバラバラで、最近気付いたが何品かの料理のローテーションらしい。それでも美味いから星矢には文句の有りようもないのだが、ひとつだけ、ひとつだけ不満があるとすれば。
「魔鈴さぁん」
「なんだい」
「朝から高野さんはやめてくれよぉ」
高野さんてのは、不思議な様相をしたあの豆腐料理のことだ。別に嫌いなわけではない。むしろ結構好きな方なのだが。
「高野さんは腹にくるんだって…」
「食べ盛りが情けないこといってんじゃないよ」
「しかも白ご飯と高野さんってその取り合わせはねぇよぉ…」
「つべこべ言わずに食べな」
スプーンを持ったまま机の上で項垂れる星矢への配慮はもちろんない。やっぱり訓練以外でも物凄く厳しいかもしれない。
2011/06/22 (Wed) 8:33
(うちの部で、高野豆腐が出るとみんなうぇーってなる話を聞いて…出したけど
笑。ただの内輪ネタでした)
■サガ
教皇の仮面を被るようになったあとも、自分は幾度か双児宮まで下っていた。埃を被った自室を眺めては、遠い昔の事を懐かしみ、しかし何処からも引き返せないことに強く決意を固める。
此処に足を伸ばす度に。自分と瓜二つな顔がないかと探していた。実質鏡の前に立つ以外でそれを見つけたことはなかったが、そのことにいつも安心していた。
帰ってきても居場所など無いように、全部崩してしまうのも手段だろうか。しかしそれでは自分に対する疑念を多大に生むだけで有意義ではない。なに、帰ってきたらもう一度葬ればいいのだ。自分には必要ない。あんな愚か者など必要ない。そう呟いては喉を震わせる。
2011/06/26 (Sun) 6:57
(でも誰よりも肉親を望んでいるのは貴方)
■鏡 (乙女座)
実は、あまり鏡を覗いたことがないのだよ。
鏡に自分を映して丹念に髪やら何やらの手入れをするデスマスクやミロにシャカが言う。
「お前目閉じてるから、鏡なんか見ても意味ないんじゃないのか?」
すっとんきょうに返すミロをデスマスクが睨んだ。
「自分の顔ぐらいは把握してるよな?」
「ふむ。細かく聴かれると危ういかもしれんな」
ミロがちょいちょい、と指で手招きした。大人しくシャカがそれに従う。ほれ、とミロが体を避けると、眼前には半身まで映す鏡。
「ふむ…」
シャカはうっすらと目を開けた。
「これが、私の顔か」
2011/06/29 (Wed) 9:18
(あんまり鏡覗かないんですよ。
だからあんまり自分の顔って覚えてなくって。っていうだけ)
■サンデーモーニング (年中組)
「おはよう、蟹」
「…おはよう魚」
「山羊も居るぞ」
「おはよう山羊」
「…おはよう…」
2011/07/01 (Fri) 8:43
■ぐちゃぐちゃ (乙女座)
綺麗なものが好きだと言う。美しいものの前にはどんな理屈も要らないと言う。視覚、聴覚。感じるのだ。それを目の前にして伴う何とも言い難い恍惚感を。
シャカは首を捻った。彼の目は閉じられている。次いで、彼は自らの両手で耳を塞いだ。さて、こうなれば美しさとは何であろうか。それでも伝わる他人の心にでも、それを見出だせというのだろうか。
否だ。何故なら人は美しくなどない。誰でもぬかるむ泥に足を取られ、膝をついてもがいてもがいて、その手から足から汚れていくものなのだ。いやだがしかし、違う、違う、美しくないのではない。綺麗なままでは生きていけないだけなのだ。美しさを間違えてはならない。
目も耳も使えないものの美しさは、こんな汚れのなさではない。
2011/07/05 (Tue) 18:58
■欲求不満 (ラダカノ)
時折かける電話に出てこないだけで苛立っている。時折送るメールにすぐ返信がかえらないだけで機嫌を損ねている。なかなか会う約束を取り付けられないだけで気分を害している。そんな馬鹿な、恋愛をしている思春期の生娘ではあるまいし。この場合、カノンがつれない恋人で自分がその生娘だとか、想像してしまった事に死にたくなった。
例えば一日一月殆どの時を共に居られるようであったならば、もう少し自分も冷静だったのだろうか。仮定の話に意味は無い、ただそれもきっと有り得ないのだろうとは安易に予想がついた。どうせ近くに在りすぎたって、自分が満足することはないのだ。どれだけ触れて絡んで繋ぎ合っても、カノンは笑って手を振るのだから。
2011/07/05 (Tue) 19:10
(このふたりに愛情という言葉は残酷だ)
■サガからアイオリア
最近、ますます彼はあの男に似てきた気がする。
2011/07/16 (Sat) 6:12
■え
昔はよく絵を描いたものだ。子供の遊びの一貫でしかなかったが、それでもかなりの枚数を描いた。暇だったのだ。その絵の大半が人だった。その大半がサガだった。そう、サガであって俺ではない。だが、サガを描きながら俺は俺を描いていたのかもしれなかった。
2011/07/16 (Sat) 6:13