every30minuteログ ぷよ1
※非常に雑食カオス無節操です
※大した説明事項もなくむちゃくちゃにつっこんであるので注意してください
■鬱屈した道(シェゾ)
歩き疲れてから思うのだ、先に道を調べておけばよかったなんて。後悔先に立たずなんて言葉もあるが、それを繰り返すうちに嫌でも学ぶ。避けるという道を選ぶ。結局、ひと手間もふた手間もかけてその道を歩いていく覚悟なんてはじめから持ち合わせてなどいなかった。何もかもが面倒だった。
自分から動こうとしなくても、忙しなく止めどなく変化する周囲に流されていつの間にか遠いところまで連れて行かれて、気付いたときには帰り道もわからない。そうなってからまた、ちゃんと調べておけばよかったなんて。
面倒だった。何もかもが面倒だった。ようやく自分の意思で踏み出した足は既に傷だらけで、ようやく決心して握りしめた拳は真っ赤に濡れている。一寸先は暗闇しかない。それでも何故か、恐れもしないで動き出す。面倒だったのだ、ただひたすらに、面倒だった。
2014/05/01 (Thu) 11:41
■隠し事(シェゾ)
言えないことが日に日に募っていく。隠し事なんて、子供のロクでもない悪戯の上で、こそこそと大人の目を盗んで笑うくらいの可愛らしいものでしか認識していなくて、本当に隠したいと思っている時は、恐ろしいほどに声なんて出ないものなのだと初めて思い知った。
焼けた喉を空気が潜り抜ける。
次に会ったときには一緒に酒でも飲もうかと、約束にもならない約束ごとを思い出しては耳鳴りを聞いた。果たして次とはなんだろう。その時が来たとして、本当にあの時と同じように笑って手を握り合えるのか。くだらない妄想だった。もう会う気もなかった。もしあれが立派な魔導師にでもなっていたら、きっと自分は再会の感動もそこそこに腕を振り上げるのだろうから。
あの日、鏡合わせの迷宮のなかで、自分が見て、聞いて、体験したことのすべてを、終ぞ誰にも言い出せないまま年月だけが加速する。
2014/05/01 (Thu) 12:05
(この2つはたぶんシェゾ考察の初期段階のものだったような)
■頭(サタシェ)
むんず、と唐突に頭を両側から掴まれて、思わず悲鳴を上げた。こめかみのあたりを指で探っている感触がする。気味が悪くて振りほどこうとすれば、無駄に力をかけられた。脳を圧迫されて身が強張る。
指は、頭の形をなぞるように後頭部へと辿り着いた。真紅の目がこちらを窺うように動く。正面から向かい合う形になっている所為で居心地が悪い。
「何がしたいんだ貴様はっ」
ようやく吐いた悪態には嘲笑で返された。
予想に反してその長い爪は立てられず、指の腹でずっと撫で擦られている。触れられている気持ちのわるさと、解されているような気持ちの良さで目の奥がぐるぐるしてきた。緊張が伝わってしまっているらしい、思い切り笑われたことに気付いて思わず顔をあげると、片方の指が首元まで下がり、間近でその楽しそうに細められた目を見ることになった。今度こそ悲鳴をあげて突き飛ばした。離れた体温を名残惜しく思って、曰く。知っている、こういう症状を混乱状態というのだ。
2014/05/01 (Thu) 12:50
(サタンさまマッサージに弱そうなシェゾ)
■もらいもの(シェゾとラグナス)
「紙袋が破けたんだ」
使い物にならなくなった茶色のそれを指示して、勇者は少し憮然としてみせた。直ぐに足下に散らばった大量の果物を拾い始める。拾っては腕に乗せて、乗せて、繰り返すけれどまたぽとりぽとりと落ちて行く。当たり前だろう、その大きな紙袋すら破くほどの量なのだから。
「なぁ、シェゾも手伝ってくれよ」
「何で俺が」
「お礼に幾らか分けるけど」
「貴様のおこぼれなんざ要らん」
「言うと思ったよ」
「そもそも、そんなに要らないと言えなかった貴様がわるい」
善意や好意なんてどのみち此方の都合に合わせた形なんてとってくれやしないのだから、自分でうまく調節していくしかないだろう。それができない貴様はやはり馬鹿だ。無視して踵を翻す。まだいくつも地面に転がしたまま、勇者が此方を見上げたのを視界の端で捉えた。
どうせすべて拾い上げられるまで其処を動かないつもりなのだから、都合がいい。今度はもっと丈夫な袋に入れて貰えよとは言わなかった。
2014/05/04 (Sun) 22:12
■天敵(レムシェ)
手は差し出さないのだと思い込んでいた。そもそも根本から頭が擦り合わないのだから、それ以下はあってもこれ以上など望むべくもない。そんな望みすら持っていない。敢えて光を体現してみせようとするところで、ひどく濃くなった影ばかりが、シェゾには見えていた。だから直感的に悟った。あれは俺が苦手なのだ。理由は、眩暈の続く視界のようにぼやけて掴めないが。
派手に溺れて次に意識を確かにしたときには、まるでその状態で引き揚げられたかのように腕を持たれていた。奇妙な感覚だった。同時に口から思い切り水を吹きだして、溺れた事実を認識させられる。もう二度と体験したくないと思いきれるほど苦しかった。
「大丈夫?」
気の抜ける声が間近で聞こえる。まったく、これっぽっちも大丈夫ではなかったが、返事をするのも億劫だ。脳に酸素が行き渡るまで呼吸をすることだけに専念した。腕を持っていた手が離れて、背中を擦る。不可解なほど優しいものだった。
「お前……」
言わなければならないことがあるような気がしたのに、ようやくまともに訊けるようになった口を開いても音が漏れない。水が頭までふやかした。忌々しげに眉を顰める。
「文句なら受け付けるよ?」
「……相変わらずわけのわからん奴だな」
「君に恩を売るつもりはないからね」
「だったら初めから手も出すなよ」
恨み節のように呟けば、困ったように首を傾げられた。それもそうだねと肯定してみせる様が、余計に機嫌を底まで落とす。
気付けば、髪から滴り落ちた雫が小さな水たまりを作っていた。
2014/05/04 (Sun) 22:34
■花(ラグナスと)
「あ」
風で花びらが一枚散って、箱の上に折り重なった。開いた蓋の中身はからっぽだ。昨日置いたばかりなのに、随分と手のはやい賊も居たものだなあ。
粗末な石くれを撫でながら苦笑いした。本当なら、墓守の居る共同墓地なんかのほうがよっぽど良いに決まってる。毎日此処まで足を運ぶ手間も省けるし、こんな風に墓荒らしにも遭わないし。地面を掘り起こされていたときは思わずため息も吐いた。
そこには何も埋まっていないから、いいのだけど。
「まぁお前は嫌がるだろうし」
怒っているかもしれないが、損失を被ることはもうないし、面倒でも俺は毎日足を運ぶし、アルルだってときどき来てくれる。
「心配ないって」
抱えた花のたばをおろした。板についてしまった笑顔も潜められないまま、風が箱の上に落ちた花びらを飛ばしたのを見送った。
2014/05/08 (Thu) 0:17
(なぜか死ネタでした。死体が残ってないのはきっといろいろあって回収できなかったから的なそういう)
■反引力(ラグナスとシェゾ)
打ち捨てられた身体があった。ぼろ布に包まれて、大きく空いたふたつの穴を覗かせて、地面に伏せているそれを前に、簡単に祈りだけ済ませて立ち去ろうとすれば、後ろに続いていた男がその場に膝を着いた。それだけで何をしようとしているのかを察してしまえたのは、幸か不幸か、すぐさま男の手首をぱしりと掴む。
「追剥まがいはやめろよ」
下から睨みあげるような目は邪魔をするなと語る。
「魔力の気配がする」
「お前、そればっかりだな」
「俺だって好き好んで死体漁りなんてするつもりはねえよ」
「だったらやめろって」
其処に道徳はないのだから、咎めるだけきっと無駄なのだろう。男は話の通じない奴ではないが、殊に自分の言う事を聞きいれたためしはなかった。その反引力のような感情を、理解してはいるのに何処までも腑には落ちず、ぶら下げたままなのは居心地がわるかった。
2014/05/20 (Tue) 11:41
■生首1(サタシェ)(※文字通り生首注意)
首が転がっていた。
「……んん?」
思わず顔を顰める。近づいて確かめてみなくても、銀の糸のようなその髪がぱらぱらと地面に散らばる様で、それが知り合いのものだということは容易に把握できたが、何故それがこんなところに転がっているのかは甚だ疑問だ。ひょいと持ち上げてみたら思いのほか重かった。真正面から向き合えば、あの青い瞳が見られると思ったが、残念なことにそれはかたく瞼を降ろしていた。
「おい、闇の魔導師」
呼びかけても返事はない。ゆすってみても効果はない。起きろと些か不機嫌な低い声で言ってみても、反応はない。死んでるのかと思ったが、耳を澄ませれば寝息が聞こえるから、どうやら本当に眠っているだけらしいが、それにしても目を覚まさないとは。まったく仕様がないなとそれを抱えて、とりあえず適当な布きれの上に転がした。そのまま断面を覆うようにしてそれを包む。これでよし。うっかり誰かがこんなものを見てしまってうっかり発狂されても困る。
「それよりも、なぁ。お前……」
眠っている鼻を摘んでぐいぐいと引っ張ると、わずかに表情が歪んだ。それでも起きないのは、まだ覚めていないからなのか。
「体はどこに忘れてきたんだ?」
2014/05/26 (Mon) 14:37
(生首ネタがすきすぎる)
■身長(ラグシェラグ)
「ちょっと屈めって」
「断る」
「ああ、くそう」
必死になって頭の上まで手を届かそうとしている子供が、鬱陶しいながらいい気味だった。両手でしっかりつかんでいるのは、花冠だ。さっき俺がこいつの頭の上に乗せたばかりの。アルルが作ったものだったが、俺の頭に飾るよりずっと能天気さが出てお似合いだろう。鼻で笑ってやったらムキになって俺の頭に乗せようとしてきたが、残念なことに本来の姿を失っている今のこいつの背丈では、俺の頭の上どころか肩に手を届かすのにも精一杯のようだ。
子供は悔しそうにしながらも目を右往左往させて、ふとあるものに目をとめた。建物の横にまとめられた木箱だった。
「あっ、そうだおいお前こっち」
俺のマントの裾をぎりぎりと引っ張りながら、子供は俺をそこまで誘導する。顰め面でされるがままになれば、そいつはひょいと軽快に木箱の上に飛び乗って、くるりと隙のないまま俺の方を振り返った。それなりの高さがある木箱の上だと、目線の高さもほぼ同じだ。そのまま素早く俺の頭に花冠が乗せられる。
「よし!」
なにがよしなのかはさっぱりだ。怪訝に見上げて、頭の上に手を伸ばそうとしたら、やめろと慌てて止められた。頭上から漂う芳しい花の匂いがやたらと鼻につく。何故か子供は、満面の笑みで俺を見ていた。
2014/05/26 (Mon) 14:47
■無題(ラグナスとシェゾとサタンさま))
サタンの城は豪奢で悪趣味だ。芸術品や美術品などには全くと言っていいほどに疎いラグナスの目から見てもそう思うのだから、多少美学のあるものから見るとそれはどうなのか、正直想像もつかないが。
居心地悪そうにラグナスは視線を彷徨わせる。隣で明らかに不機嫌なオーラを放っているシェゾを持て余していた。サタンのところに来るといつもこうだ。仲が悪いのは知っているが、それでそのわるくなった機嫌の矛先が向かうのが自分のところだと理不尽を感じる。
2014/05/28 (Wed) 0:58
(放置してたらネタの内容忘れた)
■理想(レムシェ)
そういえば、まともに食事をしているのを見るのはこれがはじめてだ。今まで機会に恵まれなかっただけと言えばその通りだが、あの親しげな栗毛の少女が差し出したサンドウィッチに、むすりとした表情のままかぶりついていたときくらいしか記憶にない。気配に敏感で、警戒心も強い。抜けたところも目立つが実力のある人だから。そんな姿ばかりが瞼の裏にはあって、思い描けば描くほど今の状況とは落差があって。
ぶすり。刺したフォークがケーキの生地に沈み込んだ。その柔らかな感触に目を細めている。乱雑に切り分けた欠片がフォークの先ごとぱくりと咥えられて、そのままフォークだけが唇の隙間から外に出された。静かに咀嚼する音が響く。わずかに喉が上下して、のみ込んだことを教えてくれた。表情は苦いままだが、文句の言葉が咄嗟に出ないということはお気に召しては貰えたのだろう。へんなところで素直な人だ。顔をあげたことに気付いたので、にっこりとほほ笑んでみせると怪訝な目を返された。ちょっとだけ傷ついた。
テーブルを離れたらまた、鋭く尖った切っ先がその場を過る。けれどもその理想を思い巡らすよりずっと現実の方が魅力的であることを、自分は疑いなく知っているから、今日も思い逸らすことだけはしないままでいる。
2014/06/11 (Wed) 11:51
(レムレスせんぱいが自分で思っているよりシェゾのことが好きだったり、自分で思っているより綺麗な尊敬であったりしていると面白い)
■きみのうみをおよぐ、ぼくのむれ(レムシェ)
まだ安らかな夜の闇のあいだを、ゆるりゆるりと飛び舞うのです。光の筋が軌跡を描き、誰かがその影を瞼の裏に見るとき、眠りはきっと覚めるでしょう。やわらかな夢の終わり。
何も見えない。闇の底を知ったときの感覚なら、いくつも覚えておりますとも。手探りで辿った道に息を止めて、心地よさと一緒に、さびしさばかりがそこにはあるのです。何もないのに、あるのです。おかしな話だ。
貴方が青い瞳を持ち上げて、くるりと一周したのを、僕は見ました。
迷いもない、見えないことへの不安もない。そして飛び交う僕が描いた光の筋を認めて、ただひたすらに眉を顰めるのです。余計なことはするなと言うのです。綺麗な闇色の空が欲しいと言わんばかりに、僕を詰るのです。安らかな眠りの合間に。
目が覚めても、きっと同じように貴方がそこに居るであろうことを知っています。だから今は、ただ笑って誤魔化して、闇のあいだを泳ぐ貴方の背中を眺めるだけ。僕がそのさびしい海で輝く星をばらまいたなら、貴方は海になろうとしているのか、深く潜って、息も必要がなくなるように。おぼれたさかなを沈ませるように。なのに貴方は未だ、水面から顔を出して腕を伸ばしているように、僕には見えるのです。
踊る指先は美しく、誘うようにそこにある。まぶしい夢の終わりです。でも瞳の奥で、そのことを忘れられない僕は、目が覚めても貴方の海を泳いでいるのでしょう。
2014/06/13 (Fri) 10:24