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every30minute GW ログ2

※大した解説はないです。
※雑多にもほどがあるので注意




■めがねうーふぇい

「五飛、眼鏡なんて使うのか」
うっかりしまい忘れた眼鏡が机の上に転がっていて、いちばん見つかると面倒なやつに見つかってしまった。なんのためらいもなくひょいとそれを手に取って、自分の顔にかけてみるその神経が五飛には理解できない。
「勝手に触るな。返せ」
「うわ、すっげえぼやける」
「何を当たり前なことを」
なぁ似合う似合う?と見せびらかしてくるそのおさげ頭を一発殴って取り戻した。
「でも普段かけてねえよな、なんでまた」
何で。答えは単純、また必要になったからだ。もともと、近くを見るとき、主に書物を読むときに使っていたもので、その作業がまた必要になったからに過ぎない。
「もう老眼はじまった?」
……どうやら宇宙の藻屑となりたいらしい、この阿呆は。


2012/07/19 (Thu) 20:40





■どこですか

「おおーい、ヒイロぉー」
人混みに呑まれて、相方とはぐれた。困ったもんだ、迷子になる自信はないけど、こういうときに自分のこの低身長が恨めしい。まぁこれから伸ばせばいいか、俺は欧米人の血が入ってるから、きっと180くらいはかるいかるい。
「ヒーイロぉーーーー」
そして同じく低身長の相方を探さなきゃならないだが、いやはや人混みおそるべし、人の腰と足の間から窺うなんて無理も甚だしいさすがにそこまでがきサイズじゃないんだ、俺は。
ヒイロは日系人らしいから、あんまり身長伸びないかもな。伸びたら今よりモテモテだろうに。まぁあいつはそんなことに興味なんてないだろうけど。
あ、なんかちょっと腹立ってきたぞ。くそうあのイケメンめ。

「ヒイローーーーー、ヒイロひいろひいろひーーいろーーーーーー」
「おい」
「あっでッ」
突然後頭部を殴られた。振り返ると相方ひとり。おお、よかったいたいたいた。
「迷子になってなくて安心したぜ」
「うるさい、それより名前を連呼するな。こんな人混みで目立ってしょうがない」
「なぁにいってんだ、俺が目立たなきゃどうやってお前が俺を見つけんだよ」
そう口を尖らせたら相方の眉がぴくりとする。ほら今だってそれ以上のことは言わない、無口なお前の姿が見当たらないなら俺にお前探す術なんてどこにもないんだ。


2012/07/30 (Mon) 11:

(よくわかんないけど時間きれてる)



■自転車

通りすがった仕事場からの帰り道で、自転車の傍らに座り込んでいる女の子を見かけた。両手を真っ黒にして自転車のチェーンをいじっていた。
「外れちまったのか?」
危なっかしい手つきに思わず後ろから声をかけて、ちょっと待ってなと手品の要領で服の袖や裾からレンチを取り出した。驚く少女に代わってチェーンにレンチをひっかける。錆びて頑ななそいつを引っ張りながらペダルを回した。少しずつチェーンは歯車のうえに乗っかっていった。

ありがとうございます、と何度も頭をさげる少女に笑顔で手を振り、別れ際にレンチを真上に投げて消して見せた。手品師さんなんですね、と無邪気に言う彼女にまぁそんなもんかなと適当な返事をかえして帰路についた。チェーンの錆で汚れた手をすこし眺めていた。


2012/08/21 (Tue) 11:14

(漕艇場で自転車のチェーン外れて途方に暮れてたら、通りかかったお兄さんが直してくれたっていう話)





■食べ物がおいしい季節になりましたね

お前は相変わらず食べることしか頭にないなと言われて、少々腹が立ちながらも別になんも悪かねーじゃん、と、鼻を鳴らしながら紙に包まれたハンバーガーにかじりつく。
「食べれば何でもいいと云うくせに、てきとうなものだと文句を言う」
そうだっけ、と惚けてみたら睨まれた。
「お前、ちょっとアタマ固いんじゃねーの」
言動に矛盾ないようにするなんて、機械じゃないんだから。
「あ、でもそうか、」
人間じゃないもんな、お前。
勿論は八割方は冗談だが、残りの二割はそれなりにマジだ。


2012/10/12 (Fri) 4:43





■自業自得

あれもこれもとするから貧乏くじばかり引くんでしょう、口を尖らせて文句をいうくせに、自分だってなにも放り出せずに抱えて同じ穴の狢じゃないか。それが俺のせいなら申し訳ないな、申し訳ないけど俺がそうしてほしいとかいったわけじゃないし。
なんていったら締め上げられる。

どうにもこうにもうまくいかないもんだ。数十年ぶりに再会した男にそうぼやいた。自業自得だと手短に返されて、たまにはいいことをいうと思った。そうだ、その通りだ。
ぜんぶ、自分で選んできたのだった。


2013/01/16 (Wed) 12:31





■ほらほら

もっと安定した職が云々とかカトルは言うが、生まれてこの方残念なくらいまともに生きてきたためしのない自分にそれを説くのはずいぶんなことだろう。これは俺の人徳のモンダイ?運命とかいうヤツの思し召し?はたまた自分の好きなようにやってきたから?どれであったにせよくだらない話だ。
「宇宙のふわふわ感がすきだ、でいいんじゃね?」
ふざけた声色で両腕を広げたら、カトルは困ったように笑ってくれた。


2013/01/30 (Wed) 9:06





■もしも

爆風に巻き込まれても死なないやつだが、うまく受け身がとれなかったとかで右足をちょっとやったとかで。まぁたぶんそうなったところで適当に自分で骨を嵌め直せば終いだと言い出しそうな雰囲気だが、サリィが許さなかったらしい。無表情にほんのすこし不機嫌さを滲ませておとなしく寝台に収まっている姿に思わず苦笑いした。
傍らのちいさな机の上には、何やら立派な包装紙に包まれた横長の箱が置いてある。添えられた白い便箋に書かれた送り主の名を見て、ああなるほどねと納得し、よかったじゃねえかいやお前にとっちゃよくないのかと口に出しながら椅子を引く。思い切り睨まれた。
「お前が死んだらきっと悲しんでくれるぜ」
皮肉のつもりはない。事実だと信じていた。そしてそれでいいのだと思っていた。いつもなら必要ないと返すはずの声は聞こえない、それでいい、廻りに回って今ようやく、奴が人間になれることを自分はひとり喜んでいる。


2013/03/25 (Mon) 10:15





■おやこ(FT)

見た目は老け込んだくせに中身はぜんぜんガキの、俺とそっくりの顔した血のつながらないオヤジの面倒なんて、マジのマジに厄介そのものだった。俺にMSの扱いを叩き込むなんて名目であれもこれもとさせられて、俺はいつも文句ばかり垂れていた。当たり前だろう、あれもこれもとやらせるわりに、親父は俺に何も教えない。
「あんた、指導する気あんのかよ」
MSを動かしているのは楽しかった。俺に与えられたワーロックは逸品だったし、慣れれば新しい手足そのものだった。それ自体はいい、ただこのボンクラ親父が俺にこんなことさせているのにはちゃんとした目的があるのだ。…オペレーション・ミュートスという、ちゃんとした目的が。
「ヒイロセンパイに俺をはやく近づけるんじゃねーのか」
センパイという言葉は名目だ、俺はいまや伝説ともなっているヒイロ・ユイを、まだデータの中でしか知らない。
「黙ってやってろ。お前が魔法使いに相応しいんなら、お前は勝手にそうなっていくさ」
かつての俺がそうだったようにな、と、小さな声で付け加えられた言葉を、俺は聞き逃したりしなかった。だらしなくて情けなくて、かっこいいところなんかひとっつもないボンクラ親父だが、時折急に大人になったような顔をして、俺は舌打ちをひとつ送り出した。
やっぱりオヤジの面倒を見るなんて厄介ごと以外の何物でもない。


2013/06/22 (Sat) 7:51





■寝不足

うっかりバランスを崩して足場から落ちた。その瞬間にうわだかおわだか、変な悲鳴をあげることができたもんだから、咄嗟に気付いたトロワが下でナイスキャッチしてくれて、俺は特に怪我もなく、さすがのトロワも特に怪我もなく、俺はカトルに心配されて五飛に叱られただけで事なきを得た。


お世辞にもうまいとは言い切れないが、それでもこんな宇宙船生活の中では幾分もマシな飯を食って、仮眠室に向かおうとしたときだった。相棒のメンテで気になることがあったから、ハワードに調整を頼もうとしていたのを忘れていた。こんなときじゃなければ自分でどうにでもするのだが、専門職がいるのだしまぁ任せてもいいだろうと踵を返したとき、目の前に影が落ちた。顔を上げると仏頂面のヒイロがいた。いや語弊がある。ヒイロはいつも仏頂面だ。
どうした?と心底不思議そうに首を傾げてやると、寝不足だろうといきなり言われた。お前に言われたきゃねーよと思いつつ、最近まともに睡眠なんてとれねえから、ま、しょーがないよなとへらへら返せば、腕をわしづかみにされてずるずる引きずられた。待てといって待つやつじゃないことは十二分に承知で待てといったがやはり待ってくれるわけもなく、そのまま仮眠室に放り込まれた。
「寝ろ」
言われなくても寝るつもりだったつーのにこのアホ!!と悪態を吐こうとして、やめた。難色示しながら口を尖らせて、じゃあ代わりにハワードに調整頼んどいてくれと事務的なことを伝えた。ヒイロはわかったと軽く頷きながら部屋を出て行った。


仮眠室のベッドに仰向けに転がる。最近気付いたが、ヒイロはあれでも一応俺を心配しているらしい。それ自体は嬉しい気もするが、正直余計なお世話だと俺が思うのは勝手なことなんだろーか。どちらにしろ、次に寝不足が祟ったら本気で殴ってでもベッドに押し込まれるに違いないので今のところはおとなしく収まっておくことにした。


2013/07/07 (Sun) 9:45

(そしてEWに続くとかいう話)