every30minute GW ログ1
※大した解説はないです。
※雑多にもほどがあるので注意
■たべざかり(デュオとトロワ)
資源衛星の食料庫まで今日の晩飯にする分を漁ってこいと、ドックからハワードに摘まみ出された。要するに休めと言いたいのだそうだが、とにかく自分は兵士、隣はエージェントの根性が染み付いているおかげで、閉め出された扉の前に少しむくれるしか脳がない。
「でもまぁしゃーないか」
デュオは切り換えが早くて面白い。いこうぜトロワ!と元気に船内を滑っていく彼に大人しく付いていった。メシだメシだと実に嬉しそうにひとりで声をあげているのがよく聞こえてくる。
デュオは自分達の中でも特に食欲旺盛だ。いちばん美味そうに頬張るのもデュオだ。食べるのが遅いカトルの分まで欲しがったりもするし、カトルもそこまで食事に喜んでいるのを見ると気分がいいのか、ついつい分け与えてしまっている。
なのにデュオは妙に発育不良というか、筋肉の付き方も背の伸び具合もヒイロや五飛に劣っているようなのが不思議で、あれだけの食物がいったいどこに消えてしまったのか、その長い三つ編みが揺れる背中を見つめながら首を捻ってみた。
2011/10/19 (Wed) 10:15
(トロワ流・休憩時間の過ごし方←嘘ん)
■カロリーフレンド(イチニ)
無言でヒイロが差し出したのは、フルーツ味の固形食。わざわざ口元に向けて出したと云うことは食えと云うことなのだろう。確かに、かれこれ12時間ほど何も口にしていなくてそろそろ腹の虫も、悲鳴どころか金切り声でもあげそうな雰囲気だったが。
「お前こんなんでよく満足できるなぁ」
一口かじってそう一人ごちた。返事がかえらないのは想定済みだった。
「飯食うのにも限界があんだから、もっと旨いもん食いたいとか、思わねぇの」
「文句があるなら食うな」
「今は別、俺が言ってるのは普段の話」
あっという間に手の中のそれは胃に収まってしまって、少し満たされたようで、全然物足りないようで。少し機嫌損ねたようにむくれた顔をすると、素早くもう一欠片を差し出された。
「お前は腹が減ったときが一番うるさい」
そういうお前は腹が減ったときが一番優しいよ、とは、切り返せない。
2011/10/30 (Sun) 4:16
■よこどり(デュオと五飛)
一食二食抜いても体は動くように鍛えている、だから別に構わないといえば構わない、だがやはり腹が立つことは腹が立つ。なぜ本人の了承なしに、無断で、しかも皿に粕ひとつ残さず綺麗に!!…一食平らげてしまっているのかその神経がわからない。
「だって冷めちまったら勿体ねぇじゃん」
悪びれもしない態度がますます気に食わない。こういうだらしのない奴が自分は大嫌いだ。開き直りというのは自分に正当な理由があるときにだけ通用するのであって、こんな場合に適用されてたまるものか!
2011/10/31 (Mon) 14:35
■小食(デュオとカトル様)
「カトルって小食なんだなぁ」
配給された分の食事を、あっという間に片付けてしまってもまだ足りないというように、スプーンをくわえたままデュオは落ち着かない様子だ。テーブルに肘をついただらしない格好で隣のカトルの皿を覗いている。
「僕は小食なんかじゃないよ。デュオ、君が食べ終わるのが早すぎるんだ。もっとしっかり噛んでゆっくり食べないと」
小食なんて言われたのは初めてだった。だから僅かに驚きを含んだ言い方をした。デュオはちょっと困ったように鼻の頭をかきながら、でも、だか、だって、だかを口にしている。
「何かこう、腹が減ってるとか減ってないとか関係なしにさ、口に入れたくなるんだよなぁ」
「ああデュオ、それは喫煙者の傾向だ!駄目だよほら、ガムとか飴とか…何かそういうものを用意して!」
「ええっ」
それと、そんなに物欲しそうな目で見ても僕の分はあげませんからね、と釘を刺せば、案の定デュオは、うっ、と言葉を詰まらせた。全く、困った欠食児童である。
2011/10/31 (Mon) 14:42
(ここまでデュオと食事がテーマだったらしいです。
こういう俗物的なの書いてるのすき)
■しにがみさん(デュオ)
できるなら、人を生かす手で在りたかったと願うのだ。ちいさな頭を撫でて微笑んで、涙の流れる頬を包んでやれるような。操縦桿を握ることに慣れたそれじゃあ、どうにもこうにも鉄臭くて、なめらかさの欠片もない。シスターの手は白くて柔らかだった、でも家事を担っていた所為で荒れてもいた。寒い日には指に赤い筋を走らせていた。だけど自分のものよりはずっと、きれいで、うつくしかった。
そうやって思い出して、比較しているうちはきっとずっとこのままだろう。後悔なんて言葉は知らないが、明るい展望というものも本当は、今まで一度も持ったことはない。どちらもないから笑っていられた。どちらもないから未だ自分は死神の鎌を抱え続けている。わかっているのに手放せなかった。だから、あのやさしい手も忘れられないまま、日付ばかりが前に進む。
2011/11/15 (Tue) 21:05
■腕時計(デュオ)
体内時計が3時を指すのに、腕時計は1時を指している。一瞬、あれ、と不思議に思ってから、ああ止まったのかと納得した。とりあえず気持ち悪いので、すっかり動かなくなってしまった針を横のつまみでぐるぐる回して3時に合わせてみた。特に意味はない。
電池を付け替えるぐらい訳無いのだが。
もちろんお気に入りの腕時計だ。それに同じくらいのものを買い直そうとすれば高くつくし、電池くらい渋らずさっさと替えてしまえば。だが止まった長い針とにらめっこを続けた。止まった途端に、何か特別なものになった気がした。
2011/11/26 (Sat) 7:04
(腕時計の針止まっててびっくりしたときに書いた。でも実際はまだちゃんと動いたのであれは一体何だったんだろう)
■やさしさって(イチニ)
やさしいひとになりたいと思ったことはないのだけれど。やさしいひとだねぇとは頻繁に言われるのだけれど。やさしさってなんだろう、自分ひとりじゃ決して見つけられないものだと言うことはわかるのだけれども。
邪険にされたり粗末に扱われるのをなんとも思わないのは、自分もそうすることを知ってるからだ。赤の他人、知り合い、友達、エトセトラエトセトラ、だからわざと大げさにひどいだなんだのと言ってみたり。
でもねぇマックスウェルさん、ヒイロ・ユイさんはやさしいひとなんですよ、ほんとは。わかるでしょう?
他人行儀に自問自答して、ひとり腹を抱えて笑った。そうだよ、わかるよひとりなだけなんだよな?
2011/12/04 (Sun) 9:55
■くいちがい(デュオとヒルデ)
ヒルデとはよく喧嘩する。
大概、俺の惰眠が無駄だとか、酒代が無駄だとか、煙草が煙たいだとか、そんな理由でヒルデが怒る。俺からヒルデに怒り出したことは一度もない。俺にはヒルデを怒る理由がなかった。怒られたら、条件反射で言い返してしまうが、しばらく続けるとやっぱり俺が折れてしまう。ヒルデが怒る理由が尤もだからだ。俺にはヒルデにできる言い訳もなかった。
「だからダメなのよ!」
でもそれでヒルデが納得したのも最初のうちだけだった。
「一度くらい私が折れるような言い分、考えたらどうなの!?」
何だそりゃ。俺にどうしろっていうんだ。言い分も何も、俺はヒルデに言い返せる言葉なんて持っちゃいない。気に食わないなら捨てていけばいいのに、どうしてかお前はやたらと付き合いがいいもんで。
「ふざけないでよ!」
ヒルデは俺の度が過ぎると、拳も振るう。と、言っても殴られるのはまれだ。大抵は締め上げられる。ただ暴力に訴えるとしばらく怒りが収まるらしい。
痛む背骨を擦りながら、俺はたぶん明日もヒルデと喧嘩をする。
2011/12/10 (Sat) 7:09
(デュオヒルすごくすきだったりします。うまくいかないところが、デュオがヒルデの愛情を理解できないところが。
他人に気をかけて誰よりも損得勘定でないはずのデュオが、自分に向けられる情に疎いのは器用な証拠なんでしょうね)
■どかーん(イチニとトロワさん)
デュオはヒイロのことが好きな癖に、ヒイロに甘えるのは好きじゃないらしい。
喜怒哀楽が顕著で振り幅も激しい彼のことだ、親切には素直に喜んで誰構わず飛び付いたり愛してるだのと口にしたり。女性に対しても「気が多い」とヒルデという女友達からも文句を言われるとおり、とにかく年中好意の安売り大サービスだ。
…と、今トロワはデュオに抱きつかれながらそう無表情に考えている。そんな状況になった原因は簡単だ、トロワは彼が欲しがっていたL3コロニー限定の焼き菓子を持ってきたに過ぎない。
そんなトロワ(と、デュオ)の傍らで、ヒイロが珍しく険しい表情を晒している。この状況が面白くないらしい。自分に抱きついたまま大好きだぜトロワ!!とか何やら言っているデュオには見えないだろうが、トロワにはその表情が真正面から見える。何だかちょっと申し訳ない気分になった。ヒイロは言葉にも態度にも殆ど出さないが、デュオが自分以外の人間に必要以上にべたべたするのが気に入らないようだ、と、トロワは推測している。
しかもデュオはヒイロに対してだけは無闇に飛び付いたり間違っても大好きだーなんて言わないのも相俟って、ますます機嫌が悪いようだ。デュオがヒイロを好ましく思っていることは、本人の目から見ても丸解りだというのに、へんなところで奥手なやつだと、ようやく離れた元凶を横目にちょっとだけヒイロに同情した。
2011/12/21 (Wed) 5:44
■帰ろう(デュオ/イチニ)
寒さでこころが折れそうだったから、他に誰も歩いていないのを良いことに、唄を歌いながら帰り道を歩いた。スキップするように上下するからだのお陰で、音は揺れて声も途切れ途切れ。それでも気にしないのはもちろん、他にきくものもないからだ。街灯と走り去る車のライトが夜道を照らす、照らされた道の白い雪が鮮やかに映る。とても寒かった。
空元気でも元気。作ったものでも笑顔は笑顔。寒さを吹き飛ばしたくて歌う唄も、気持ちを和らげてはくれるけども。
はやく家へ帰ろう。たとえそこで待っているのが仏頂面であろうが無表情であろうが、やっぱりひとりよりふたりが良い。早々に寒さに諦めて暖房も入った部屋を想像しながら、足取り軽く夜道を跳ねた。
2012/01/11 (Wed) 22:20
■バレンタイン(ヒイロとカトル様)
紅茶と一緒にテーブルの上に出されたのは、一口サイズのチョコレート。美しい台形をしたそれは、上品な白い皿の上に規則正しく並べられている。
ヒイロは無表情のまま、それを出したあと向かいの席に座ったカトルを睨んだ。
「……なんだこれは」
「何って、バレンタインデーですから」
そうだ、今日はキリスト教の聖人がなくなった日だ。確かにそうだが。
「恋人たちの日、だと解釈されてるみたいですよ。市民たちの間では」
「……俺とお前は恋人じゃない」
「そんなこと言われなくてもわかってますって」
何故か機嫌の悪そうな顔をしているヒイロがおかしいのか、くすくす笑いながらカトルは優雅に紅茶を啜った。ヒイロはカトルを睨んだまま動かない。チョコレートも綺麗に並んだまま変化はない。
「意中の男性にチョコレートを贈るというのにあやかって、今日の御供にしてみただけなんですけど」
嫌いですか?と首を傾げて尋ねるカトルに首を横に振りながら、それでもしばらく小さなチョコたちを眺めていた。今日は大学の授業もなかった。朝から人には会っていない。本日最初のチョコレートを口に運ぶか運ばないかを、ただじっと考えている。
2012/02/16 (Thu) 14:38
(たぶん、リリーナ様が贈りますよって言ったのを律義に待ってるんだと思います。
過ぎたけどばれんたいーん)
■デスサイズ(デュオ)
便利で扱いやすいけど、ちょっと物足りない。俺の相棒は良いヤツだったがそんな印象だった。ヒイロのものみたいに爆発力はない、トロワのあれみたいにクセはない、そんなかんじ。カトルや五飛のものとの比較は思い付かないから今はしない。
MSがパイロットに似るなんて聞いたこともないけど、お前は俺に似たんじゃないかとふざけて話し掛けていた。とばっちりばっかりよく食らう。でもすぐにどーにかして、意地だけで立ち上がろうとして。ちょっと頑丈に生まれてきてしまったのが運の尽きだろう、俺もお前も、カッコ悪くって情けない、グズでノロマな貧乏クジだ。
口と同時に手も動かして整備を完了させる。似てるなんて言われていい気分はしないか、でも俺はお前が相棒で良かったよと、顔をあげてけらけら笑った。後から格納庫に来たカトルが不思議そうに俺を見ていた。
2012/02/19 (Sun) 17:57
■ねえ、(サンニだけどイチニ)
なぁなぁ連れてってくれよ、と、大きなトラックの運転席に乗り込んだ男に向けて両腕を伸ばした。男は腹が立つほど表情を変えずに、俺は別に構わないが、と小さく口を動かしたあとで、
「でもお前はよくないだろう」
なんて、わかったみたいに目を見てくるから。いやわかってるんだろうけど。両腕を突き出したまま、俺は無様な恰好のままなのだけれども。
2012/03/22 (Thu) 11:07
(イチニだったとして、ヒイロさんがちゃんとデュオを好きだと認識してるなら、ヒイロさんはデュオに「待て」をするような気がするんですが。
デュオにそれはできないよなぁとか考えてました。デュオはヒイロ好きならちゃんとずっと好きだろうけど、浮気もすると思うよ。何となくイメージがYUKIちゃんの「二人のストーリー」的な)
■桜(イチニ)
ようやく桜の季節になったんだそうです。地球はへんなところです。桜は春に咲くんだそうです。いつもの帰り道から寄り道して、ヒイロの通う学棟近くの歩道橋から、行儀よく並んだそれが見えました。
急いで帰って、カメラを引っ張り出してきて、また家を飛び出して。柄にもなくわくわくしてたから、間違えてゴミ出し用のスリッパ履いてて、そのことにも最後まで気付かなくって。デジカメも持ってるくせに黒くて重いカメラを手に持って階段駆け上ったら、ぐいっと後ろから三つ編みを引っ張られた。振り返ればヒイロがいた。よう授業お疲れさん!走り続けて若干汗をかきながら片手をあげる。ヒイロは何も返さない。
「なぁなぁ、写真とってくれよ」
相手の機嫌をはかることもしなかったのは、きっと自分の機嫌が良すぎたからなんだ。ヒイロのてのひらに黒くて重いソイツを乗せて、階段を駆け下りて。桜並木の下に躍り出た。上から覗き込むヒイロにもう一度手を振って、無意識に満面の笑みで出迎えた。ヒイロは相変わらず無表情でこちらを見ている。あ、カメラ構えた。
「あとでお前も撮ってやるよ!」
「必要ない」
「ちぇっ、つれねぇなぁ」
桜は春に咲くんだそうです。
風が吹いて、雨が降って、全部地面に散らばってもまた、春には花を咲かすんだそうです。翌週、歩道いっぱいに広がった花びらを俺は歩道橋の上から見たんです。
2012/04/17 (Tue) 8:01
(撮った写真をヒイロが何故か大事に持ってるとかいう妄想までしましたがわたしはヒイロさんをなんだとおもっているのか)